1994年1月3日。東京ドーム。シルバースターは、学生王者・関学にリードを許していた。
 第4Q残り29秒。QB東海からエースRB野村への逆転TDパスが決まり、28−23でライスボウル2連覇を達成する。

 あれから3年間、王者の座から遠ざかっているシルバースター。「天才」東野、ワールドリーガー河口の加入、そして京大・森コーチの参加など、今季話題に事欠かないが、開幕戦で2年振りに1部に復帰した東海銀行に苦戦を強いられる。
 この試合後、川崎球場のベンチ裏ではミーティングが長々と続いた。「もう日本一じゃないんだ。選手がそれをわかっていない」と、選手の意識の裏にある奢りをたしなめた阿部監督。
 どうあっても、最終のオンワード戦までは絶対に負けられない理由と意志が、シルバースターにはあった。

 昨96年シーズン。2年振りの王者奪回に向け、シルバースターは、リーグ戦を苦しみつつも負けなしでファイナル6へと駒を進める。
 QBは東海から金岡に、エースRBも野村から中村へとその中枢にいる選手の顔ぶれは変わりつつあったものの、評価は依然高いものであった。セミファイナルの相手はQB須永率いるオンワード。

 この試合でシルバースターは、前半17点ものリードをオンワードに許してしまう。しかし後半にモメンタムを掴むと、第4Q残り1分29秒を残して27ー24と遂に逆転に成功。誰もがシルバースターの東京スーパーボウル進出を確信した。
 だが残り35秒。オンワードQB須永の放ったロングボムが成功。オンワード再逆転劇の幕引きとなる。

 「絶対に勝つんだ」という意志をもって臨んだ11月5日東京ドーム、対オンワード。シルバースターはLB河口らがブリッツを積極的に仕掛けオンワードQB須永にプレーをさせない。
 オフェンスはQB金岡のスクランブルTDも飛び出し、17ー14の勝利。昨年の借りを返すことが出来た。

 シード権こそ逃したものの、4年ぶりの日本一奪回に向け阿部監督は「手違いなくここまできている」と振り返る。
 しかしながらファイナル6へは「勝負は水ものだから一戦一戦大事に戦いたい」と油断は見せない。シルバースターにとっての「シーズン」は始まったばかりなのかも知れない。


FINISH RESULT 1997
 9月15日 21-12 vs東海銀行レッドウェイブ
 9月23日 31- 7 vsレナウンローバーズ
10月 5日 42-35 vs富士通フロンティアーズ
10月18日 27- 0 vs東京三菱銀行センチュリアンズ
11月 5日 17-14 vsオンワードオークス