1989年に「5年後の日本一」を合言葉に創部された鹿島ディアーズ。日本一の夢はいまだかなえられてはいないが、今季は念願の東京スーパーボウルに初進出を決め、ようやく「8年後」にして大きなチャンスが目の前にやってきた。

 ディアーズは90年に協会に加盟すると、秋の関東社会人リーグで長谷工ダイナミクスを相手に100−0の圧勝を演じるなど4戦全勝で優勝し、東日本社会人2部へ昇格。91年は4勝1敗の1位で内外衣料製品シルバーオックスとの入替戦にも勝ち、トントン拍子で1部へと昇格した。

 出だしはこれ以上ないといっていいほど順風満帆に見えた。しかし、1部はそれまでのように楽に勝たせてもらえるほど甘い場所ではなかった。92、93年と2勝を挙げるにとどまりそれぞれブロック3、4位。94年は5戦全勝で初のブロック優勝を遂げたが、ファイナルイーストでオンワードオークスに完敗。95年は3勝2敗でブロック3位に沈み、Xリーグ初年度となった昨年は、4勝1敗でリクルートシーガルズ、オンワードオークスと並びながら、得失点差で涙を呑んだ。

 歴史の浅いディアーズが短期間でこれほどの成績を挙げてきたのには理由がある。言うまでもなくリクルーティングの成功だ。89年に前監督の斎藤助監督ら京大出身者などが中心となって創部。甲子園ボウルを制したQB宇田川(日大)、現ヘッドコーチの高野(専修大)ら有望選手を獲得し、着々と現在に至る下地を作ってきた。
 今季のスターターを見回しても、そのほとんどが、学生時代からその名を全国に轟かせたスタープレーヤーばかりだ。看板のディフェンスは、フロント中央に谷嶋(関学)、木村(日大)のリーグ最強コンビが並び、LBにはリーダーシップのある小川(東海大)、準決勝で縦横無尽の活躍を見せた有澤(法政大)。DBにも勝又、佐山と専修大が91年に甲子園ボウルに出場したときの中心メンバーがそろう。その成果はここまで6試合で33失点(オークス戦のタイブレークは除く)の数字が証明している。
 守備に対して影が薄くなりがちなオフェンスも、レギュラーシーズンではファイナル6進出チーム中2位の得点を記録。CENTRAL6位のラッシングに終わったエース堀口(立命)も、準決勝ではそれまでのうっぷんを晴らすような快走でタイブレークでは2TDランを決めた。ワールドリーガー板井(京大)は相手守備をものともしないキャッチが持ち味。WRの関(日大)、植村(関学)らとともに、鈴木(日大)、川上(立命館大)の2枚QBのターゲットとなる。

 これだけの「スター軍団」がようやくたどり着いた東京スーパーボウル。悲願とする日本一を達成するために、同じく強力守備が売り物の松下電工インパルスの壁をぜひとも突破したいところだ。


FINISH RESULT 1997
 9月15日 26- 0 vsさくら銀行ダイノス
 9月22日 38- 0 vsすかいらーくスカイラークス
10月 5日 34- 0 vs三和銀行ラークヒルズ
10月15日 17-13 vsリクルートシーガルス
11月 3日 31-10 vs日産プリンス東京パルサーズ
FINAL6
11月30日 10-10 vsオンワードオークス
タイブレーク 13-10