第55回西日本社会人選手権決勝・グリーンボウルは、３年連続でアサヒ飲料チャレンジャーズとパナソニック電工インパルスの顔合わせとなった。
　ゲームの立ち上がり、パナソニック電工のパント処理のミスを誘って、エンドゾーン直前で攻撃権を手に入れたアサヒ飲料が先制に成功するが、その直後にＲＢ#20石野のラン、体調不良から完全復帰したＱＢ#8高田のパスなどでパナニック電工が試合をひっくり返すと、合計９本のＴＤ、２本のＦＧ成功と、大量69点を奪って圧倒。
　パナソニック電工が３年連続13回目のグリーンボウル制覇となった。

　昨秋のリーグ戦では、24−20とアサヒ飲料が戦前の下馬評を覆して勝利し、ＷＥＳＴ優勝を果たしているだけに、「雪辱というわけではないが、この春は狙っていたゲーム。毎年、やはり特別な相手」と、パナソニック電工の村上監督も、この結果に手応えを感じていた。

　開始早々、アサヒ飲料Ｋ#17山岡が蹴った好パントをパナソニック電工の選手がミスキャッチ。これをカバーチームの#88植松が確保し、アサヒ飲料がゴール前３ヤードと願ってもないポジションを得る。ここでＱＢ#11井川からＲＢ#3兼本へＴＤパスが決まり、アサヒ飲料が先制する。
　しかし直後のパナソニック電工は、２プレー目にＲＢ#20石野が、34ヤードのＴＤランを決めて同点。さらにこの日はパスを中心にオフェンスを展開するアサヒ飲料ＱＢ#11井川から、ＤＢ#19島田がインターセプトを奪うと、ＱＢ#8高田からＷＲ#7長谷川へ息のあったＴＤパス。14−７と、パナソニック電工が瞬く間に逆転する。

　攻撃の手を緩めないパナソニック電工。１Ｑ終盤から、ＱＢ#8高田がＷＲ#87佐藤、#7長谷川へのパス、ＲＢ#11武田のランなどでじっくりとドライブし、この春初登場のＫ#9太田の22ヤードＦＧ成功へと結びつける。

　これ以上離されるわけにはいかないアサヒ飲料もＱＢ#3有馬を投入し、反撃開始。
　「この春でも今日は調子が良かった」（アサヒ飲料・藤本ＨＣ）というＱＢ#3有馬。ＲＢ#21林、#15藤山のランを中心に自陣25ヤードからのオフェンスをコントロール。敵陣30ヤード圏内に入ったところで、Ｋ#17山岡が40ヤードＦＧトライを狙うが、惜しくもポールに直接当たって不成功となる。

　逆にパナソニック電工は、Ｋ#9太田が50ヤードのＦＧ成功させ、20−７とさらにリードを広げると、ＬＢ#10東のパスインターセプトから奪った敵陣31ヤードからのチャンスを、ＱＢ#8高田のＴＤランに繋げて27−７。前半で試合の趨勢が決まってしまう。

　後半、アサヒ飲料はキックリターナーに入った#21林が90ヤードリターンＴＤを決めて気を吐くが、反撃もここまで。
　勢いづいたパナソニック電工は、新人ＤＢ#27辻の100ヤードインターセプトリターンＴＤを含む６本のＴＤを後半に挙げ、圧倒的な大勝となった。

　「勝てて良かったと思うが、相手は秋には違うチームになってくる。ムカつかせて終わったのはマイナス」と、警戒を緩めない村上監督。
　「この結果に関係なく、例年通りの取り組みで秋に備えていく」と、秋季リーグへ向けて本番はこれからだ。

　一方、藤本ＨＣは「ウチのチームがしてはいけないミスがたくさん出て、現実を見せつけられたと思う」と、試合を振り返る。さらに「点差よりも、本当にやるべきことが出来ていたかが問題」と、課題をあげた。
　秋本番に向けては、「やるべきことが出来るようにする。一つひとつのプレーの完成度をあげること」。このライバル同士の秋本番は、もう既に始まっているようだ。