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vol.2

新弟子 “TE花田” デビュー!

 そのプレーぶりは、まさにフットボーラーだった。

 初戦のLIONS戦。本職のTEでの出場機会はなかったが、トライフォーポイントのラッシュチームでXリーグのフィールドに初登場した花田は、キッカー目掛けて一直線。
 相手オフェンスラインのブロックを跳ね飛ばして激しく突進するパフォーマンスに、角界で頂点を極めた“男の意地”を見た感じがする。

 時間にしてわずか1秒そこそこだったが、最後まであきらめずにボール目掛けて必死に腕を伸ばすシーンに、フットボールにかける情熱とハングリー精神を見せてくれた気がする。
 たった1プレーだったが、お兄ちゃんのデビュープレーに大拍手を送りたい。

 ただ、これも賛否両論がある。「あんなところでこけてる場合じゃない」とか「どうってことない普通のプレー」と評論する関係者もいるが、私自身は「まだフットボールをはじめて1年にも満たない選手」が「よくやった」というのが正直な感想である。

 もちろん、いきなりNFLというレベルの話ではない。そのことは花田自身が、いまヒシヒシと実感していることだろう。

 続くリクルート戦で、待ちに待ったTEとしてファーストプレーに登場。ランプレーのブロッカー役として、リクルートのディフェンスラインに挑んだ。

 対戦した相手が、日本人として初めてNFLヨーロッパに参戦した、“T”こと阿部拓郎だったというのも興味深い。

 阿部は、京大4回生時に、全米大学のオールスターゲームに招待され、その年に日本人として初のプロフットボール選手として、NFLヨーロッパで活躍した名選手である。

 相撲での立ち合い同様に、鋭いスタートで踏み込むと、さすがの阿部もあとずさり(※写真)。ボールキャリヤであるRBの本来走るべきホールが詰まったため、大きなゲインにはつながらなかったが、この1プレーに関しては、TEとして合格点を付けられる内容だった。
 欲を言えば、もう少ししつこくブロックし続けられれば満点だった。

 この後も、ランプレーの際にTEとして出場。無難にブロックをこなし、ハツラツとサイドラインに帰る姿に初々しさがあふれている。

 角界で激しいライバル関係だった武蔵丸、KONISHIKIが応援にかけつけ、激励するシーンもまた、絵になっていた。
 二人は高校時代、ハワイでフットボール選手として大活躍している。そんな“兄弟子”KONISHIKIから「もっと経験つんでいけば大丈夫だよ」という声をかけられ、背中を丸めながら笑顔をふりまく表情は、まさに“新弟子”の謙虚な姿勢だった。

 
 花田のハツラツプレーとは裏腹に、チームは手痛い連敗を喫し、プレーオフ出場に向けて、苦境に立たされている。(注:第3節終了時点)

 優勝の可能性が少なくなり、逆に、花田の出場機会が増えるとの見方もあるが、本人は「チームが勝つために自分が何をすべきか」に集中しているはずだ。

 もう少し出場機会が増えれば、もっともっと激しく相手ディフェンスラインを圧倒するシーンが見られるかもしれない。
 記念すべき初のパスキャッチシーンもいよいよカウントダウン−、といったところか!

 


Dr.N is。。。
 甲子園ボウルや東京スーパーボウルなどで活躍した国内屈指の元フットボウルプレイヤー。
 大相撲やオリンピック、各種球技など、多岐に渡るスポーツライターとしても活躍。


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