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vol.3 FINAL

夢見るころを過ぎても、夢は果てしなく

 花田勝が"千秋楽結びの一番"で有終の美を飾った−。

 Xリーグ第3節まで、TEとTFP/FGラッシュのスペシャルチームで出場していた花田が、第4節と第5節の最終戦で、NFL挑戦以来、希望していたDLとしてフィールドに登場した。

スクリメージにつく花田  ON−SKYの野田監督は「ディフェンスの動きをマスターするには、オフェンスのブロックを覚えることが必ず役に立つ」とインタビューに答えていたが、このポジション起用は私も大賛成である。
 シーズン当初、このコーナーでも「花田がNFLを目指すならDLがベストポジション」と紹介してきたが、DLをこなす上でのTE起用は大正解だったと思う。

 第3節までTEをこなしてきた花田は、オフェンスのキーポジションであるTEの難しさを身にしみて感じたに違いない。
 「オフェンスの花形ポジション」と言えば、まずはQB、そしてRB、あるいはWRと答える人が大半だろう。だが、フットボール経験者から見ると、TEがそのチームの強さをはかるバロメーターと言えるほど重要な役割を持ち、かつ、注目選手と答えるはずだ。

相手OLをかわしてラッシュ  あるときはオフェンスライン、あるときはQBに最も近いパスターゲット、はたまた、ラインと距離をとった位置にセットしてWRとしてロングターゲットの役割をこなすことさえある。
 サイズ、パワー、スピードに加え、豊富なフットボール知識がなければ、TEはこなせない。裏を返せば、ディフェンスに回った時でも、TEの動きに注目しているとプレーが読めることにもなる。

 わずかな期間だったが、花田が身に付けたTEのノウハウは、ディフェンスをやる上で必ず生きてくるはずだ。

 第3節のアサヒビール戦はスペシャルチームだけの出場にとどまったが、第4節の五洋建設戦では、第3Q終了間際からDTとして出場。

米国人選手ジョージ・ヘザーと  最終Qには相手オフェンスラインのブロックをはねのけて、QBにプレッシャーをかけた。これまでフットボールを続けてきた選手なら、大げさになることもないかもしれないが、何と言っても花田にとっては、DLとして公式戦で初めて出場した試合だったことを考えれば、両手を挙げて喜べる内容だったのではないだろうか。

 続く最終節のレナウン戦では、第2Qから早々と登場。第3Qには、左足首が相手オフェンスライン選手の下敷きになって捻挫。これはやったものしかわからない痛みだが、かなり痛そうだった。

 しかし、花田は最後の意地を見せてくれた。負傷した左足首をテーピングでグルグルに巻きにして試合出場。残り22秒のラストプレーでは、レナウンが誇るオフェンスラインの柱・OT金子をあおってブルラッシュ。QBサックまであと一歩と迫るビッグプレーを見せてくれた。

 直接対峙した同じレナウンのC高梨も「まともに当たったときのパワーはやっぱり凄い。なによりフットボール1年目の選手がココまで出来ていることが脅威です」との感想を語った。

 「姿勢が高い。足がそろう。手が使えていない…」。まだまだ課題が多いのは事実だろう、というよりは、あの"お兄ちゃん"なら、もっともっとできるというのが正直な感想だ。
 あの曙、あの武蔵丸としのぎをけずってきたフルパワーが迷いなく繰り出されたときは、NFLプレーヤーも真っ青になるのは間違いない。

 それには練習、そう“稽古”あるのみだ。それは花田自身が最も自覚していることだろう。

 アリーナフットボールからNFLへ。夢実現へ向けて、キラキラと輝く瞳で抱負を語る"お兄ちゃん"をこれからも温かい目で応援していきたい!

Photo by Sato Makoto

Dr.N is。。。
 甲子園ボウルや東京スーパーボウルなどで活躍した国内屈指の元フットボウルプレイヤー。
 大相撲やオリンピック、各種球技など、多岐に渡るスポーツライターとしても活躍。


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