秋晴れ爽やかな横浜スタジアムは、全勝対決に相応しい絶好のフットボール日和となった。
2002年XリーグEASTディビジョン注目の全勝対決、鹿島ディアーズと富士通フロンティアーズの一戦は、14−7で富士通が鹿島に競り勝ち、2年ぶりの全勝優勝を決めるとともに、念願の打倒鹿島を果たした。
Xリーグになってから、過去3度の鹿島との対戦で全て惨敗。3年連続FINAL6進出を決めた富士通だが、もう1歩ステップアップするには「打倒鹿島」は避けて通れない大きな登竜門だった。
それだけに、富士通にとって「全勝優勝」以上に大きな意味合いを持つこの鹿島との試合「1試合集中力が切れなかった」(富士通・奥監督)と絶賛するように、過去の反省を活かし、攻守共に終始、耐えに耐え抜いたのが勝因となった。
富士通のこの試合の鍵は、鹿島QB鈴木(和)の率いるリーグ1位のパス攻撃(130回試投77回成功/1027ヤード獲得/13TD)をいかに守るか、また、いかにRB森本のランを軸に、ボールコントロール出来るかが焦点とされていた。
まず鹿島のパス攻撃に対しては、5人のDBを配してゾーンディフェンスを展開。短いパスは許すものの、ロングゲインは決して許さないディフェンスが、終盤にはDB吉田の2度のインターセプトを生む。
フロント陣4人のパスラッシュも、個々がラッシングレーンをしっかりとキープし、QBスクランブルを許さず、勝負どころでDL宮下のQBサックを生んだ。
この徹底した戦略が、いままで猛威を奮ってきた鹿島オフェンスを、55回214ヤードに抑えこんだ。
「オフェンスが得点できないとウチは辛い。後半の2度の敵陣からのオフェンスもドライブできなかったのが痛かった。メンタル面でも負けていた」と鹿島の森ヘッドコーチが落胆するほど、富士通のディフェンスは光っていた。
また、富士通オフェンスもゲームプランを忠実に実行した。
タイム・オブ・ポジッションでも、富士通が26分40秒と顕著に表れているように、粘り強くボールを支配。前半は敵陣から得た2度の攻撃権を、今季好調のK長谷のFGに結びつけ、後半は主将WR高橋(睦)が、リバースから芸術的なカットバックで22ヤード逆転TDランを演出。
さらにリードを奪って時間を消費したい第4Qの時間帯で、エースRB森本が本領を発揮。後半だけで16回102ヤードを獲得するなど、鹿島の攻撃する機会を最小限(前半5シリーズ、後半5シリーズ)に抑えこんだことで、ロースコアリングな、富士通が望む試合運びとなった。
一方の鹿島は、苦戦した第1節のIBM戦同様、本来の力を発揮させてもらえなかった。
パス成功率は43%、被インターセプトは2回(過去4試合で、成功率59%/被INTは1回)と低調。ランオフェンスは、ランによるTDを1度も許していない富士通ディフェンスに対して、112ヤード獲得(平均4.1ヤード)とまずまずであったものの、第2QのRB堀口の17ヤード逆転TDラン以外は、突破口を開くほどのキーゲインが奪えなかった。
3つのターンオーバーもその拙攻を表していた。
この結果、EASTディビジョンは富士通が優勝。リーグ戦通算の得失点差で、CENTRAL優勝のシーガルズが第1ランクとなりシード権を獲得。
FINAL6は、鹿島が11月17日にWEST2位のアサヒ飲料と大阪市長居球技場で対戦。富士通は、CENTRAL2位のON−SKYと横浜スタジアムで、それぞれ準決勝進出を目指して戦うことになった。
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