今シーズンオフェンスが絶好調のアサヒ飲料チャレンジャーズと、ここまで“爪”を隠しているのか、いまひとつ調子の出ていない松下電工インパルスが対戦。
ここ数年間、リーグ戦や東京スーパーボウルで火花を散らす両チームの戦いは、試合開始直後から互いの気迫が激しくぶつかり合った。
まず得点をあげたのはアサヒ飲料。松下電工が攻撃権を放棄するためのパントをミスしてキックできず。いきなり敵陣34ヤードからのチャンスを得た。
アサヒ飲料が、今シーズン初めて見せたフレックスボーンからのオプションオフェンス。まずは急成長のRB瀬畑がビッグラン。ゴール前18ヤードからも、RB山田(育)の中央、RB瀬畑のオープンで前進し、最後はRB辻野が力強くエンドゾーンに走りこみTD。先制点をあげた。
対する松下電工は、ファーストダウンすら奪うことができない。しかし、その悪い雰囲気を払拭したのは、松下電工ディフェンス陣だった。
アサヒ飲料の自陣12ヤードからのオフェンスで、RB山田(育)のランプレーをハードタックルし、ファンブルフォース。
このチャンスを攻めきれずに一度はFGを蹴ったが、そのプレーでアサヒ飲料が痛恨の反則。松下電工がダウンを更新し、再びゴール前7ヤードからの攻撃権を得る。
ここで、RB小林のオフタックル、RB松田のリバースプレー、そして最後はRB樫野が右オープンを走りTD。7−7の同点に追いついた。
後半の立ち上がりも松下電工の勢いが続く。
今シーズン、ボールコントロールオフェンスが展開できず、村上監督もそれを一番の課題にあげていたが、自陣34ヤードから見事なドライブを見せた。
RB樫野、小林のラン、そしてQB高橋(公)も自ら持って走る。主将RB荒木も中央を勢いよく走りぬけ、ゴール前12ヤードまで前進した。
しかしここからは攻めきれず、32ヤードFGをK太田が決め、これで勝ち越し。
次のシリーズでは、アサヒ飲料QB桂のパスをDL脇坂がインターセプト。オフェンスはここでも攻めきれずFGを選択、K太田が44ヤードをギリギリで蹴りこみ、リードを6点に広げた。
その後は、松下電工、アサヒ飲料ともに、敵陣に攻め込むことすらできないディフェンシブゲームとなる。
試合終了間際、パントの好リターンで、ようやく敵陣38ヤードからの攻撃権を得たアサヒ飲料だが、必死の連続パスもエンドゾーンに届かず。
13−7で松下電工が勝利をおさめ、3年連続5回目のXリーグWEST優勝の栄冠に輝いた。
試合後、松下電工の村上監督は「ディフェンスがよく頑張ってくれました。(アサヒ飲料の)RB中村多聞が出てこなかったのもウチにとってはラッキー」と、とりあえずホッとした表情。
「何とかFINAL6で勝ち進んで、東京スーパーボウルでもう一度アサヒ飲料に勝つことで、初めて勝ったと思えるんでしょうね。でも大きな目標であったこの試合に勝ててよかった。今日1日だけ喜ぶことにします」と、嬉しさも半分といったところか。
一方、アサヒ飲料の山川GMは「いいゲームでした。ただ、点を取れるところで取れず、ミスが出たほうが負けるといっていたのに、ミスが出てしまったのが負けた原因でしょう」と、今日のゲームを振り返る。
「でもこの試合で、オプションオフェンスなど新しいことに挑戦して結果を出せたので、FINAL6にはつなげることができたと思います。次は昨年と同じ鹿島ですが、タレントの揃うチーム(鹿島)に対して、我々雑草軍団は開き直って戦うしかないと思っています」と、早くも2週間後を見据えていた。
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