リターナー山崎。値千金のパントリターンTD!
第1試合でブラックイーグルスがアサヒ飲料に敗れるのを、サンスターファイニーズの面々は、準備運動の合間に目に留めた。
これでこの日の対戦相手であるイワタニサイドワインダーズに勝って、第3試合で松下電工がマイカルを破れば、サンスターは2位になり、念願のファイナル6に出場できる。盛り上がる緊張と興奮の中、サンスターのキックオフで試合は開始された。
イワタニ最初の攻撃は、QB大橋が3回連続パス。しかしレシーバーとのタイミングが合わず、ダウンを更新することなくパントとなる。
対するサンスターも、先発QB柴田がパスを成功させるものの手痛いホールディングの反則が出て、ドライブを続けることが出来なかった。
最初にチャンスを掴んだのはイワタニ。一度は4thダウンに追い込まれながら、サンスターの反則に助けられてファーストダウンを獲得。
最後はQB大橋が、エンドゾーン左に走り込んだWR島崎に絶妙のパスを決めてTD。TFPも成功させ7−0と先行する。
サンスターも反撃に出るが、肝心なところでRB中村、QB埜下ら主軸選手にファンブルが出て、ドライブが途切れてしまう。
逆にイワタニはサンスターディフェンスを、QB大橋が巧みなプレーで翻弄、再びWR島崎への鮮やかなスクリーンパスが成功、島崎がそのまま走り込んでTD。13−0とリードを広げて前半を終了した。
ファイナル6出場のためにも絶対に負けられないサンスターだが、後半最初のプレーでまたしてもファンブル。イワタニにリカバーされていきなりのピンチを迎えてしまう。
しかしここでディフェンスが踏ん張り、4thダウンパントに追い込んだ場面でリターンチームにビッグプレーが飛び出す。イワタニのパントをキャッチしたPR山崎がカバーチームを振り切って、73ヤードのパントリターンTD。13−7と6点差に迫った。
このプレーでモメンタムを掴んだサンスターは、続くイワタニのオフェンスをディフェンス陣がキッチリ止めて、オフェンスへとつなぐ。
2Q途中から柴田に代わって出場のQB田原からTE桜庭への2本のパスを足がかりに敵陣へと入り、最後はRB中村が中央を走り抜けてTD。TFPも決まってついに逆転に成功した。
勢いに乗るサンスターは、主将RB山下の29ヤードロングランで再び得点機を手にする。このチャンスに、今度はRB井場が左オフタックルからタックラーを振り切りTD。リードを8点に広げた。
最後の反撃を試みるイワタニは、QB大橋がWR島崎、下野にパスを決めてゴール前3ヤードでファーストダウンという大きなチャンスを迎えた。しかし、ここでサンスターディフェンスが奮起。QB大橋に激しいプレッシャーをかけて凌ぎきり、21−13で勝利した。
一時は、敗戦の危機すらあった試合展開に、サンスター村田ヘッドは「なさけない。最初はパスも通ってよし、という雰囲気もあったのだが、反則、QBサック、ファンブルが出て、波にのれなかった。ハーフタイムの時に選手達に『これがおまえ達の実力なのか。これではブラックイーグルスに負けたときと同じじゃないか』と話をした。山崎のパントリターンTDに助けられた」と、逆転勝利にもミスの多い試合運びに笑顔はなかった。
結果的にこのあとの試合で松下電工が勝利し、サンスターは晴れてファイナル6への切符を手に入れた。
しかし今日のようにミスの多い試合運びを繰り返していては、プレーオフに出場してくる強豪チームにはとてもかなわない。村田ヘッドを軸にチームのコンセントレーションを高め、来るべき大一番に望んで欲しい。
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