VOL8 ディフェンス編(オプション)
オプションに対するディフェンス
【1】オプションに対するディフェンスの心構え

 オフェンスが攻撃力をアップさせる手段として有効なプレーがオプションである。
 オプションとはその名のとおりプレーが展開する間にいくつかの選択肢が与えられているもので、オフェンスはディフェンスの反応や選手の動きを見て有効なプレーを選ぶことができる。

 たとえばFBによるオフガードダイブの動きをする。QBがFBのボールをハンドオフするモーションに反応したディフェンス選手がFBに集中した場合、QBはボールをFBに渡さずに抜き取り、自らボールを持ってオープンに走る。
 その後、ディフェンス選手がQBをタックルに来た場合には、TBにピッチをしてオープンフィールドを走らせ、逆にTBがマークされている場合はQBがボールを持ってそのまま走る。
 QBがボールを持って走る際には、さらにそこからパスを投げるという選択肢もある。

 ディフェンスは自分たちの動きにあわせて有効な手を打たれてしまうために、しっかりとしたオプション対策がなければ後手に回ってしまうことになる。
 しかし、相手チームのオプション攻撃のタイプと傾向を十分に研究し、それに対するアサイメントを徹底させればオプションを完全に封じることも不可能ではない。

 日本フットボールの現状では、オプションを得意とするチームはその反面、パス攻撃が弱いという傾向がある。そういうチームに対してはオプションプレーを封じればオフェンスの脅威がほとんどなくなるといっても過言ではないだろう。

【2】オプションプレーのパターンとその対策

 ひとつのオプションプレーの中でディフェンスが対処するべき選択肢はほぼ次のように大別することができる。

 @:FB(またはビア隊形のHB)のダイブ
 A:QBキープ
 B:TB(またはビア隊形でダイブフェイクをしたHBとは逆サイドのHB)へのピッチ
 C:「A」から派生するQBのオプションパス

 オプションプレーへの対策を簡単に言うならば「選択肢を少なくする」ことである。
 選択肢がなくなればオプションプレーはただの決め打ちのプレーと同じになるからだ。具体的には次のような考え方ができる。

 @はオプションプレーの根幹を成すものである。ダイブプレーが出なければ、それをフェイクに使ったオプションプレーが展開できなくなる。
 したがって、ディフェンスの観点からはダイブプレーを止めることができればオプションプレーの威力を半減させることができると考えられる。ダイブプレーでゲインを許さないことが、オプションプレーを止めるための第一歩である。

 【図1】はディフェンス4−3隊形での、対オプションのアサイメントの一例だ。
 DTはCからOTまでのインサイドダイブを止める。MLBはオフCのランニングレーンを守りながらDTのヘルプをする。
 ダイブプレーを止めるのは主にDLとLBの役目。もし、相手のオフェンスがラン中心のチームでパスを使う頻度が少ない場合には4−4隊形を使ったり、SSをスクリメージライン近くにラインアップさせて、ラン守備担当の人員を増やすことも考えられる。

 AとBがオプションプレーで一般的によく見られる「選択」だ。QBキープとTBへのピッチという二通りの選択肢を残しているために、オフェンスには有利な状況だ。
 これを打破するためには、ディフェンスはオフェンスがどちらか一方のプレーを選択せざるを得ないシチュエーションに持っていけばいい。そうすることによって、初めてディフェンスはオプションプレーに対して後手ではなく先手を打つことができる。

 まずディフェンスはQBにボールを持って走らせるか、TBにピッチさせるかをゲームプランとして決める。
 QBを走らせることによってディフェンスが得られるアドバンテージは、以下のようになる。

・通常はQBのほうがTBよりもランナーとしての脅威が小さい。
・QBがスクリメージラインを抜けるときはインサイドのルートをとることが多いから、
 ディフェンス選手の多いフィールド中央にコンテインしてタックルをすることができる。
・QBがボールキャリアーとしてタックルされる頻度が高くなり、消耗させることができる。

 QBにボールキープをさせる場合、プレーサイドのDEは、そのプレーがオプションプレーであると判断した瞬間にTBをカバーする。
 ピッチする相手がカバーされているために、QBは自らボールを持って走る以外に選択肢がなくなる。プレーサイドのCBはQBが外を走らないようにしっかりとコンテインし、QBをインサイドに走らせる。
 OLBは、ボールキャリアーをタックルして止める責任を負う。このOLBは、プレーをオプションだと判断した後、スクリメージラインとの距離を縮めながらQBのランニングレーンをつめていき、タックルをする。

 TBにピッチする場合、オフェンス側のリスクは以下のようになる。

・ピッチミスやキャッチミスなどによるファンブルの危険が伴う。
・プレーのタイミングが遅れるといった状況が考えられる。

 この際にDEは、TBではなくQBをタックルに行く。QBがTBにボールをピッチしたら、CBは外を走られないようにコンテインをする。
 OLBがボールキャリアーをタックルする要領はQBキープの場合と同じである。【図2】

 ここではQB、またはTBに向かうディフェンス選手をDE、コンテインマンをCB、タックラーをOLBとしたが、チームの採用する隊形やテクニック、戦術によってアサイメントが変わることがある。

 Cに対してプレーするのはDBである。上記のようにCBがコンテインマンとしてプレーする場合には最大で3人のDBがパス守備にまわる。

 【図3】は、3人のDBによる3ディープゾーンカバーの例。

 SSがラン守備に加わってスクリメージライン近くにラインアップしている場合には、パス守備に割くことのできるDBは二人となり、ディープゾーンも二人で守らなければならない。














 【3】その他の有効なプレー

 オプションプレーに限らず、ランプレーが失敗する大きな原因のひとつはブロッキングのミスである。だから、ディフェンスはプレーの開始直前にフォーメーションを変えたりして、オフェンスの混乱を招くのも有効な方法だ。
 また、QBがピッチするかキープするかを判断するポイントに向けてスタンツを入れるのも、タイミングを狂わせるためによく使われる。
 QBの判断が遅れればスクリメージライン上でタックルすることができるし、ピッチプレーでTBとの呼吸が乱れればファンブルを犯す可能性も高くなる。

 一口にオフェンスプレーといってもいろんなパターンのプレーがある。プレーはシーズンごとに複雑さを増し、効果を挙げているが、それに対するディフェンスの研究も進んでいる。
 これからスタジアムで観戦する際には、オプションプレーに対してディフェンスがどのような工夫をしているのかも一緒に見ていただけるとより楽しくなるのではないだろうか。



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