Xリーガー vs 学生トップ選手対談「時代を超えて受け継がれる、オレ達のISM」【ノジマ相模原ライズ×早稲田大学ビッグベアーズ編】(2/3)
’15.11.13
「フットボールをやるなら、絶対にディフェンスです」(コグラン)
河石:ケビンは高校に入った時、最初からアメフトをやるつもりだったの?
コグラン:フットボールをやりたくて受験する高校を選んだんです。大学受験をしたくないから付属校に行きたくて、中大付属と早大学院を受験して早 大学院に入りました。
河石:そうなんだ! ポジションは最初からLBだったの?
コグラン:最初、仮入部した時はDBをやろうと思っていたんです。
河石:そうか(大久保)潤の影響か。彼はSFだったからね。
コグラン:でも、やってみたらと物足りなかった。毎回プレーに絡めるわけでもないから”走り損”な気がして(笑)、もうちょっと当たりたいな、 と。それで
すぐLBになって、以降ずっとLBです。河石さんは最初からDBですか?
河石:高校までラグビーをやっていて、大学に入ってアメフトに興味を持った。最初に見たビッグベアーズの試合に出ていたCBがカッコよかったんだよ。1年上の先輩で23番を付けていて、その姿がマイケル・ジョーダンみたいに見えたんだよね。オフェンスはチャラチャラしているイメージがあったけれども、ディフェンスの、体を張って止める男臭さも好きだった。そのインスピレーションだけで、何も知らないくせにDBをやりたいと志願して、そこからずっと。
ディフェンスって一体感をすごく感じられる。ボールを持っている奴を全員で止めに行くという考え、思想が好きなんだよね。わかるでしょ?
コグラン:わかります。僕、オフェンスはフットボールじゃないと思っていますから(笑)。ディフェンスは野獣になれるのがいいところ。僕はタック ルが下手だと言いましたが、結局、タックルにはすべての気持ちが出る。オフェンスって小手先でどうにかなるイメージがあるのですが、ディフェンス は気持ちに尽きる。だからディフェンスのメンバーは強い気持ちを持った奴が多い。フットボールをやるなら、絶対にディフェンスです。
河石:ライズのディフェンスは、早稲田のディフェンスと似ている気がする。もちろんシステムは違うけれど、思想やスタンス、戦い方は似ている気がする
な。早稲田のディフェンスは正直、華麗ではないよね。
コグラン:はい。みんなで集まって止める感じです。
河石:早稲田は、伝統的にスーパープレイヤーはいない。むちゃくちゃスカウティングしてデータを出して、細かいパシュートアングルまでこだわって戦う。そんな泥臭さが早稲田らしさだと思う。
コグラン:まさにその通りですね。スター選手はいないけれど、全員で止める。
僕らは今年、言いたいことはすべて表で言うようにして、裏ではいっさい言わないと決めた。だからバチバチにやり合う時もありますが、私生活もずっと一緒なので、言いたいことはすべて言い合っている。本当の意味でわかり合えていると思います。そういう面で気を遣ったりすると、結局勝てないから。
河石:ウチの代もそうだった。気を遣う関係の選手は一人もいなかった。主将がそういう奴だったし。その結果、日大に勝ったことが一番大きかった。 あの時は本当に最高だったし、あの試合がなかったら今フットボールを続けていないと思う。自分は入学した時、大学のラグビー部に入れなかった。大きな挫折を経てアメフトを始めている。確かに日本一にはなれなかった。でも思い返すと、一つの成果を得ることができた感覚がある。
コグラン:早稲田らしさって何だろうと考えた時、スポーツ推薦で入ってくる選手がいないのは大きい気がします。スポーツ推薦でたくさん選手を獲っている大学には負けたくない。それは大きなモチベーションにもなっていますね。
河石:それはある。そもそも、ウチの代はフットボール経験者が少なかったから。主将も含めて、ほとんどの選手が大学でアメフトを始めたんだ。ケビ ンの
代はどうなの?
コグラン:経験者は、学院から上がって来た選手と他の学校から来る選手を合わせて6割ぐらいですね。未経験は4割ぐらい。スポーツ推薦で入ってくる選手はいないから、とにかく、やれることをすべてやる。個人個人が弱い分、みんなで、全員でやる。僕らの代のスローガンは「覚悟」。一人一人が 弱い分、みんなが一つになることです。
河石:ウチはデイリーでコーチがいるわけではない。選手自身が考えてチームを築いていく”手作り感”がある。決して恵まれてはいない環境の中で、 いかにして勝つか。それが大事なテーマになってくるよね。
写真=樋口涼 構成・文=前田成彦(Office221)