ともに4連勝、前節までにFINAL6進出を決めているリクルートクラブシーガルズとアサヒビールシルバースターが、11月6日(火)東京ドームで対戦した。
試合はお互いのプライドがぶつかり合い、最後の最後まで目が離せない文字どおり「激闘」となった。
ゲームの大きなポイントは、第2Qを10分を過ぎたところでやってきた。
自らのパントのミスで先制のFGをシルバースターに与えてしまったリクルートは、逆にシルバースターのミスパントで敵陣35ヤードから攻撃権を得る。
ここでこの日先発に起用されたQB大久保からWR脇田へパスを通すものの、ダウン更新には至らず4thダウン5に追い込まれてしまう。
ここでタイムアウトをとったリクルートベンチはギャンブルを選択。QB大久保からWR前川に短いパスが通った、と思った瞬間、前川は取ったボールをそのまま横に走りこんできたRB古谷にピッチ。
RB古谷は、このプレーに虚を衝かれたシルバースターディフェンス陣の間隙をぬって、一気に敵陣3ヤードへ。
しかしこのプレーに納得しないのがシルバースターベンチ。「(WR前川が)膝をついていたではないか」「前パスではないか」と、阿部監督が必死で抗議する場面もあったが、プレーは成立。
この後、あっさりとRB古谷がオープンを駆け抜けTDを奪い、リクルートが7−3と逆転に成功する。
しかしこの7点が、のちのち重くシルバースターにのしかかってくることになる。
シルバースターは先発QB金岡に代わって、第2QからQB東野を投入。QB東野はその直後、前半残りわずか1分半にもかかわらず、自陣29ヤードからのオフェンスを7プレーで、敵陣31ヤードまでボールを進める。
ここでK山口が48ヤードのFGを決め、6−7とし前半を終了する。
後半に入ると、試合はディフェンシブゲームの様相を呈してくる。
シルバースターは後半になってQBに再び金岡を投入する。しかしDT池之上、阿部らを中心とした集まりの早い、時にはDBまでもがブリッツに加わるリクルートディフェンスの前に、再三3rdダウンに追いこまれる苦しい状況。
それでもシルバースターは、第3Q中盤にはWR藤縄へのロングパスで作り出したチャンスにFGを狙うがこれは失敗。
直後のリクルートのオフェンスを、DB田中がインターセプトして掴んだ敵陣36ヤードからというチャンスにも、リクルートの強力なパスラッシュの前に3回パスを失敗し、あえなくパントに終わってしまう。
一方のリクルートは後半、QBを松本にチェンジ。しかし、パスに精彩を欠くQB松本は、DE佐々木、LB中山、今野らを中心としたスピード豊富なシルバースターディフェンス陣を前に、ダウンの更新すらもままならない。
第4Qに入って自陣34ヤードからのオフェンスをSB根崎へのプレーアクションなどで敵陣29ヤードまでボールを進めるが、ここでもDB石川にインターセプトを食らい、追加点には至らない。
双方の見ごたえあるディフェンス合戦は試合を引き締め、東京ドームは試合終盤にかけて否が応にもヒートアップしていく。
その緊張感を力ずくで穴をこじ開けたのは、シルバースターオフェンス陣だった。
残り5分34秒の時点で自陣10ヤードから始まったシルバースターのオフェンス。
RB伊是名の力強いランやリクルートディフェンス陣のわずかな隙を突くQB金岡のパスなどで11プレーを費やして敵陣13ヤードへ。
ここからさらに3回続けてランを選択し、4thダウン3となったところで、なんと残り時間はわずか5秒。見事なまでのボールコントロール。
勝利への意欲を見せるシルバースターはここで23ヤードのFGを選択。キッカーは今日2本のFGを決めているK山口。両チームの応援席からの声援が次第に大きくなり東京ドーム内に充満する。
互いに手を繋ぎ、祈るシルバースターベンチ。シルバースターのリーグ戦最後のスナップが放たれた−。
「蹴られたらもう最後、なんとかブロックするしかない」と、思っていたリクルート大橋ヘッドコーチの願いも空しく、シルバースターK山口が蹴ったボールが高々と舞い上がる。
が、次の瞬間歓喜に沸いたのはリクルートベンチだった。シルバースターK山口が蹴ったボールは、ポールを左に外れた。
こうして今季のCENTRAL最終戦は幕を閉じた。
リクルートはこれで全勝で2年連続のディビジョン優勝。FINAL6は11月18日(日)富士通と日産の勝者と横浜スタジアムで対戦することになる。
敗れたシルバースターは昨年に続き、ディビジョン2位。FINAL6では同じく11月18日(日)昨年同様、長居競技場でアサヒ飲料と対戦することになった。
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