3年連続FINAL6進出を決め、名実ともにXリーグトップチームの仲間入りを果たした富士通フロンティアーズ。 惜しくも第一ランクのシード権は逃したものの、今季はリーグ戦で、宿敵鹿島ディアーズを初めて破り、2年ぶりにディビジョン全勝優勝を決めた。 今季のフロンティアーズの躍進は、就任3年目の奥監督の存在なしに考えられない。清風高校卒業後、関西学院大では、2年生よりスターターとして活躍。4回生時の88年には、主将として甲子園ボウルへと導いた。 89年に富士通入社。新人時より、NG(ノーズガード)としてスターターになり、92年にはリーグ初制覇に貢献。93年は主将も務めた。95年の引退後は、暫くフットボールから離れていたが、2000年のチーム再編成時期に、チームフロントが「この人しかいない」と白羽の矢を立てたのが奥監督だった。 自分にも他人にも厳しい頑固な性格だが、若い選手達とのコミュニケーションを常日頃から欠かさず、チームをここまで作り上げてきた。 |
どんなに試合で快勝しても、「まだまだです」と、決して喜びを表に出さない厳格な奥監督だが、監督就任1年目のFINAL6準決勝で、3人のQBを怪我で欠いた状態で戦った松下電工戦後には、「本当によくやった」と涙を流した。 さらに今季、全勝優勝を決めた鹿島戦後は、「中弛みがなく(集中力が)切れなかった。小さなミスもなかった。よくやった」と手放しで選手をねぎらった。 次に奥監督が喜びをあらわにするのは、東京スーパーボウルに勝った時かもしれない。 今季のフロンティアーズの「攻・守・蹴」の戦力を分析してみる。 まずはオフェンス。今季はエースQB中澤と、4年目のQB木之下の2人がチームをリード。QB中澤は61%のパス成功率で650ヤード、7TD、被インターセプトが僅か1つと、今までのように無理なパスは投げず、リスクを最小限に押さえたプレーぶりは熟練に域に達してきた。豪腕を活かしたロングパスも要所で決めるなど、相手チームとしては本当に「嫌な」QBに成長した。 QB木之下も、試投回数は少ないものの、脅威の78.9%のパス成功率を記録。FINAL6でもその正確無比なパスを披露しそうだ。 そして何と言っても3年連続リーディングラッシャーに輝いたRB森本だ。88回のキャリーで608ヤード、平均6.9、6TDは見事としか言い様がない。卓越したボディバランスと耐久性は、2000年代最高のRBと言っても過言ではない。 |
また、RB森本の活躍も重量オフェンスラインの活躍なしではあり得なかった。不動のT大津、大坂、G須賀、C和田らの巧みなゾーンブロックからのランプレーは、RBとOLという一つのユニットを形成した。 さらに今季は、K長谷が急成長。春の劇的なサヨナラFGから一皮剥け、秋も大事な場面での安定度は目を見張るものがあった。 ディフェンスに目を移すと、今季から採用した3−3−5にアラインした富士通独自のディフェンス体型は、優秀なDB陣をフルに活用したものだった。 ディフェンスで許した失点が僅か37、ランプレーで奪われたTDは、鹿島戦の1つと鉄壁だった。 その第一の原動力は副将LB岡村、平本、北奥らの若いLB陣の成長だろう。また最後尾に配した新人FSグレッグ・ラフィーバーの存在も、このLB陣を含む他のDB陣にも、迷いのないアグレッシブな動きをさせた要因だったと言えよう。 FINAL6初戦は、オンワードスカイラークスを息詰まる死闘の末破り、西宮スタジアムでのWEST王者・松下電工戦では、僅差のゲームをディフェンスが守り抜いて勝利。 オフェンスの破壊力にディフェンスの粘り強さも備わって、無敵の秋季7連勝。初の東京スーパーボウル出場を果たした。 |
FINISH RESULT 2002 | ||||
9月 7日 | ○ | 63-0 | vs クラブダイノス近鉄 | |
9月25日 | ○ | 17-14 | vs 日産スカイライナーズ | |
10月 5日 | ○ | 31-10 | vs LIONS | |
10月21日 | ○ | 24-13 | vs IBM BigBlue | |
11月 3日 | ○ | 14-7 | vs 鹿島ディアーズ | |
FINAL6 | 11月17日 | ○ | 20-17 | vs オンワードスカイラークス |
FINAL6 | 11月30日 | ○ | 7-0 | vs 松下電工インパルス |
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