2002年の学生王座決定戦・第57回甲子園ボウルが、4年振り3回目の出場の立命館大パンサーズと、創部69年目にして初出場の早稲田大学ビッグベアーズとの間で行われた。
関西学生リーグを圧倒的な力で制圧した立命館大に、リーグ戦で2敗を喫しながらも関東学生選手権で法政大、専修大を見事に撃破し、勢いに乗る早稲田大がいかに挑むか注目されたが、結果は立命館大が早稲田大を寄せつけず51−14で3回目のライスボウル出場権を手にした。
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試合は終始、立命館大のペースで進行した。
この日の立命館大の先発QBは、左肩を負傷したエースQB高田に代わり、リーグ最終戦の関学大戦で交替出場して活躍したQB椙田。なんとこの試合が公式戦初スターター。
「いつもと変わらないように、悔いを残さないように」(QB椙田)と心がけたというQB椙田は、大舞台での初先発の重圧を全く感じさせないプレーぶりで、自陣49ヤードからのファーストシリーズを鮮やかにドライブ。
先制のTDを奪うと、続くオフェンスシリーズでも最後は自ら11ヤードを走り、試合開始からの2シリーズをTDに結びつけ14−0とする。
一方、甲子園ボウル初出場の早稲田大は試合開始直後からシフト、モーションを多用したアンバランス体型からRB神のダイブやQB波木のオプションキープなどで突破を図るが、パワー、スピードともに上回る立命館大ディフェンス陣の前に思うようにゲインを奪えない。
しかし14−0とされた直後、自陣21ヤードからの早稲田大オフェンス。 このシリーズでは、QB波木のアンバランス体型のウィークサイドをつくオプションキープをきっかけに、RB泉へのプレーアクションパスやRB神のダイブなどで徐々にリズムをつかみ、10プレーを費やして敵陣5ヤードまでボールを進めることに成功する。
ここで、QB波木は立命館大ディフェンス陣が迫るなかで、RB神へのプレーアクションパスを決めTD。7−14と追撃の体制に入るかと思われた。
ところが、立命館大オフェンスのショットガン体型から繰り出すタイミングをずらした力強いランプレーや、その裏をつくパスなどに早稲田大ディフェンス陣は全く対応できない様子。
直後の立命館大シリーズでもWR河瀬へのパスを皮切りに、RB磯谷、RB野本らRB陣が次々とゲインを重ね、最後はRB齋藤が2ヤードを捻じ込み追加のTD。
さらに自陣16ヤードからのオフェンスも、RB野本のTDで追加点。前半の全てのシリーズをTDに結びつけ、27−7でハーフタイムを迎える。
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後半に入っても立命館大のペースは変わらない。圧巻だったのは立命館大ディフェンス陣の活躍。
後半最初の早稲田大オフェンスで、トリプルリバースからのQB波木へのパスというスペシャルプレーが決まり、立命館大陣37ヤード付近で迎えた4thダウン7。
ショットガン体型からQB波木が投じたパスを立命館大DLがディフレクト。そのボールをLB宮口がキャッチし、そのままサイドライン際を走りながら、CB小路へピッチ。一気に敵陣へ陣地を戻すと、このシリーズもTDに結びつけ34−7。
さらに直後の早稲田大をパントに追いこむと、今度はFS長田がパントブロック。FS長田は転がったボールをそのまま拾い上げTD。41−7とする。
第4Qに入ると早稲田大に異変が起きていることが観衆にも明らかになる。プレー毎にQBが波木と安村が交互に登場するようになった。さらに波木はパスを投じなくなったのだ。
「途中、指を痛めて投げられなくなった」(早大・日野監督)。QB波木のパスが立命館大に対し有効なプレーであっただけに、早稲田大にとっては大きな痛手だった。
そのQB波木は残り4分を切ったところでビッグゲインを見せ、78ヤード完走のTD。何とか一矢報いる。
一方、立命館大はさらに2TDをあげ51−14。4年振り3回目のライスボウル出場権を手にした。
「ずっと関学を目標にやってきて、リーグ戦が終わったあと選手達のモチベーションが心配だったが、グラウンドに出ると目の色が戻ってましたね」と立命館大の古橋ヘッドコーチ。「我々は(関京に比べ)後進のチーム。ライスボウルではなにがなんでも勝利して、歴史に名乗りを挙げたい」と次の戦いへの想いを語る。
この日不出場ながら年間最優秀選手(ミルズ杯)を獲得したQB高田は「今日の椙田さんは本当に凄かった。でもライスボウルではなんとか自分が出て勝ちたい」と、やり残した2002年シーズンの決算を目論んでいる。
甲子園初出場。苦い敗戦となった早稲田大の日野監督は「立命の選手はやはり上手い。それに比べて我々はあまりにもミスが多かった。負けは負けとして受けとめ、ここからの反省で来年どういうチームを創るか考えていきたい」と誓いも新たに来季へのスタートを切った。
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