FINAL6の一回戦。社会人2連覇を目指すオービックシーガルズ(CENTRAL2位)と、アサヒ飲料チャレンジャーズ(WEST2位)が、鶴見緑地球技場で対戦した。
どちらにとっても負けられない一戦。特にアサヒ飲料は、RB中村(多)、LB河口、DB河合といった万全の状態でない選手達も、山川監督に“決意表明”して試合に臨んだという。
しかし開始早々のリターン中に、エースRB杉山が負傷退場。ディフェンス最初のプレーで今度はLB河口が、とアサヒ飲料にとっては、イヤなムードで序盤戦が始まった。
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そんな暗いムードを吹き飛ばしたのが、QB桂だ。
自陣20ヤードから始まった2シリーズ目のオフェンス。WR吉村、梅田へのパスでダウンを一つ更新。3rdダウンと追い込まれたところで、QB桂がQBドローに出る。
「僕と多聞で練りあげた作戦です」(山川監督)。RB中村(多)へのパスフェイクから、QB桂が全力疾走。これが66ヤード独走TDとなり、アサヒ飲料が先制する。
2Qに入って、オービックSも反撃開始。「相手の強いフロントに対し、QB井上で横に揺さぶるプラン」(大橋ヘッドコーチ)で、先発起用されたQB井上。
その期待に応えQB井上は、DB寺田のパスインターセプトと相手の反則で、敵陣32ヤードからと絶好のフィールドポジションを手に入れると、RB古谷へのショベルパス、RB白木へのスクリーンパスなどで、連続ダウン更新。
ゴール前6ヤードから、アサヒ飲料ディフェンスのタックルをかわしながら、自らエンドゾーン右隅に駆け込んでTD。しかしTFPのキックが外れ、7−6と同点には至らない。
ここまでオービックSディフェンスの早い出足に、全くゲインが奪えずにいたアサヒ飲料のRB陣。
しかし次のシリーズで、ピッチを受けたRB瀬畑が、初めて相手ディフェンスの壁を突破。47ヤードのロングゲインを奪い、ゴール前20ヤードへ。
ここはK橋本が42ヤードのFGを決め、10−6として前半を終える。
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なんとか追いつきたいオービックSだが、後半最初のプレー、QB井上がスナップされたボールを痛恨のファンブルロスト。
いきなりチャンスが訪れたアサヒ飲料。オービックS主将LB遠藤のロスタックルなどで、TDこそ奪えなかったが、K橋本が再び42ヤードを決め、13−6とリードを広げる。
試合は最終Qに入り、自陣18ヤードからのオフェンスシリーズで、今度はQB桂からWR桃澤へパスがヒット。
セカンドエフォートで、一気に駆け上がったWR桃澤は69ヤードを獲得。ゴール前9ヤード。
ここもエンドゾーンを死守するオービックSディフェンス陣。K橋本が3本目のFGを決めて、16−6とする。
あとがないオービックSは、QB高橋にスイッチして、パス攻勢に出る。
QB高橋からSE前川、清水(謙)へのパス、RB米田のロングゲインなどで、一気にゴール前1ヤードへと押し寄せる。
しかし今度は、LB河口も負傷を押して参加のアサヒ飲料ゴール前ディフェンスが、エンドゾーンを守りきり、K喜田のFG3点に止める。
結局、このままアサヒ飲料が、3分40秒の残り時間をほとんど使い切って、16−9で勝利。FINAL6準決勝へと駒を進めた。
「まだ実感がわかない。とにかく選手達がよくやってくれた」と、破顔一笑の山川監督。
「去年、(オービックSに)負けたときから、自分たちのフットボールを創ってきた成果。皆よくついてきてくれた」と、選手達を褒め称えた。
スタッツでは完全に相手を上回りながら、要所でのミスで自滅した恰好のディフェンディングチャンピオン・オービックS。
大橋ヘッドは「ツメの甘さ。ゲームの中で選手が力を出しきれるメンタリティを創ってあげられなかった」とふり返る。来シーズンに関しては「成果は財産として残し、まずはメンバー集め」と、新たな出直しを誓った。
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