鹿島ディアーズ(CENTRAL1位)とアサヒビールシルバースター(EAST2位)の一戦は、両チームとも、ディフェンス陣が踏ん張ったロースコアゲーム。最後は、少ないチャンスをモノにする勝負強さを見せたアサヒビールが鹿島を下し、劇的な勝利を掴んだ。
試合開始直後に先手を取ったのは鹿島。
KR生田のリターンから、相手の反則もあって自陣45ヤードからオフェンスとなると、QB鈴木からWR東畠、WR松永へのパスなどで敵陣8ヤードまで迫る。
3回のパス失敗で、TDこそ奪えなかったものの、K田中がフィールドゴールをしっかりと決め、3点を先制した。
その後、両チームとも持ち前の強力ディフェンスが踏ん張り、パントの応酬が続く。結局、そのまま鹿島が3−0とリードして、前半を折り返した。
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後半に入ってもパントの応酬が続く。
しかし「今日の試合で最も突出していたプレーヤー」と、鹿島の森ヘッドコーチに言わしめたアサヒビールのP山口が、素晴らしいパントを蹴り続け、鹿島に良いフィールドポジションを与えない。
膠着したリズムを変えるべく、鹿島はQBを笹野に変える。
WR植村へのパス、持ち前の快足を活かしたスクランブルと、立て続けにダウン更新を奪うが、QBを鈴木に戻した鹿島は、そこからがつながらない。
一方、アサヒビールも、RB伊是名のランなどで敵陣まで攻め込み、K山口が44ヤードのFGトライで同点を狙うが、キックはわずかに左に外れ、追いつくことができない。
試合残り時間8分46秒。何とか追いつきたいアサヒビールQB金岡が投げたパスを、鹿島DB佐野がインターセプト。鹿島のオフェンスとなってしまう。
そこから、鹿島が敵陣25ヤードまで攻め込み、残り時間は約4分半。
「試合を通して、ずっと相手にあった流れを、自分たちに持ってきたプレー」。(アサヒビール深堀ヘッドコーチ)
鹿島が、試合を決定づける追加点を奪うのか、と思われたその矢先。アサヒビールDB米田が値千金のインターセプト。相手の反則もあり、アサヒビールは、自陣45ヤードからのオフェンスを得る。
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アサヒビールは、QB金岡からTE橋詰へのパスでダウン更新すると、RB中村(友)のラン、WR藤縄のレシーブ、RB花房のラン、とゲインを重ね敵陣6ヤードへ。
最後はRB伊是名がタックルされながらも、パワーでエンドゾーンまで押し込みTD。TFPのキックも成功し、アサヒビールが、残り時間2分6秒で、ついに7−3と逆転に成功する。
しかし、鹿島もこのままでは終わらない。
KR笹野が自陣41ヤードまでのリターンを見せると、QB鈴木から、WR松永、志田、TE八百板らへのパスなど、6プレー約40秒で敵陣20ヤードまで攻め込む。
ここでQB鈴木が投げたパスをWR板井がフェンス際でキャッチ。そのままフェンスに激突。この身体を張ったプレーで、鹿島が逆転のTD、と思われたが、惜しくもラインの外でのキャッチ。
鹿島の4thダウンギャンブル残り4ヤード。鹿島はこれを、WR板井のスクリーンプレーにかけたが、ここで痛恨のスクリーンパス失敗。鹿島の猛追もここまでとなった。
試合後、アサヒビールの深堀ヘッドは、「非常に厳しい試合だった。相手のディフェンスが強いので、ワンチャンスあるかないかだと思っていた。今年1年間の成果が出た試合。選手は本当に良くやった」と、第2節敗戦以来の長いトンネルを抜け出た喜びを露わにする。
次の松下電工戦に向けては「相手の両QB高橋は切れ味のあるプレーヤー、そしてディフェンス力のあるチーム。次もワンチャンスを活かせるかどうかの試合展開になるだろう」と語った。
一方、鹿島の森ヘッドは「選手の調子は悪くなかったが、シルバースターのベテラン勢が頑張り、それが相手の勝負強さにつながった」と、試合を振り返った。
この結果によりアサヒビールは、WEST王者の松下電工インパルスと、ジャパンエックスボウル進出をかけて対戦することとなった。
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