開幕以来、2連勝の日産プリンス東京と1勝1敗のリクルートの試合。ファイナル6進出をかけた中盤の大きな転換点となる試合として注目された。
立ちあがり、日産プリンス東京にいきなりビッグプレーが飛び出す。
日産プリンス東京のキックオフ・リターナーに入ったWR中澤はキックオフされたボールを自陣2ヤード地点でキャッチすると急加速。敵陣28ヤードまで一気にボールを運ぶ。
このチャンスに日産プリンス東京は、ファーストプレーから得意のオプションを選択。今シーズン初先発したQB岡本がボールをキープしてオープンに飛び出すと、LOSを越えたところでRB田辺にピッチ。これを受けたRB田辺がエンドゾーンに駆け込んでTD。試合開始わずか22秒で7−0と日産プリンス東京が先制に成功する。
次にチャンスを掴んだのはリクルートだった。リクルートは日産プリンス東京のRB田辺のファンブルにより敵陣39ヤードからの攻撃権を得る。
ここでQB松本がWR脇田にパスを決め、一気にゴール前6ヤードへ。なんとか同点にしたいリクルートはRB米田、亀山のランで前進を試みるがTDには到らない。3rdダウンでSB阿部へのパスを通すものの、集まりの早い日産プリンス東京ディフェンス陣の前に、4thダウンでのギャンブルを強いられる。
QB松本が投じたパスは失敗に終わり、リクルートベンチには何とも嫌なムードが漂う。
しかしディフェンス陣の踏ん張りで、日産プリンス東京の攻撃を2回のダウン更新に押さえることに成功し、パントに追いこむ。
攻守交代、と誰もが思った直後に何とリクルートのPR高岡がボールをファンブル。これを日産プリンス東京が押さえ、再び日産プリンス東京が敵陣33ヤードからの攻撃権を得る。
この時点でリクルートにはかなり焦燥感があったに違いない。続くプレーでレイトヒットの反則を犯し、日産プリンス東京は労せずして敵陣14ヤードから1stダウンとなる。
この絶好の追加点のチャンスに、日産プリンス東京はRB関野らのダイブらを中心に前進を試みるが敢え無く4thダウンに追いこまれてしまう。この4thダウンはRB氏家のダイブで、何とかダウンは更新。
ゴールまで残り4ヤード。
この4ヤードが日産プリンス東京にとっては、とてつもなく長いものだった。
リクルートの堅守の前に再び4thダウンに追いこまれてしまう。
前半残り時間が2分を切っていることを考えれば、FGの選択もあったものと思われるが、「追加TDで勢いに乗りたかった」(日産プリンス東京・石原ヘッド)。
日産プリンス東京はあえてギャンブルを選択。RB田辺がスイープピッチを受け、左オープンを切れあがりTDなるかに思えた。その瞬間、横から飛びこんできたリクルートディフェンス陣がボールを掻き出し、ファンブルを誘う。
転がったボールをリクルートDB久乗がピックアップし、何と一気に反対のエンドゾーンまで運んでTD。その距離、実に96ヤード。リクルートにとっては、正に起死回生の同点TDとなった。
結局7−7の同点のまま前半は終了するが、この1プレーが後半の両チームの勢いに大きな差を生む結果となってしまった。
リクルートは後半、中野、米田らRB陣が、暴れまわり着実に加点していく。特に圧巻だったのは、14−10と4点差に迫られたあとのこの二人の活躍。
米田が66ヤードのTDランを見せれば、中野は敵陣47ヤードから4回連続のキャリーでTDを奪い、一気に28−10と日産プリンス東京を突き放してしまう。
日産プリンス東京も、後半に入ってアンバランス体型を披露、WR中澤へのTDパスなどで第4Q残り7分の時点で17−28とした。
ここまでは、一昨年の逆転劇の再現を期待することが出来たが、勢いに乗るリクルートの前に、その後、追加点を奪えずに力尽きた。結局試合は、もう1TDを追加したリクルートが35−17で勝利した。
リクルートにとって、あとの日程を考えれば、ファイナル6に大きく近づいたといえそう。
一方、日産プリンス東京はファイナル6進出のために残り2試合の連勝は必須事項となった。
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