「バックフィールド、ライン共に大いに不満です」。
 RB堀口(#39・写真)はいらつきを隠さなかった。

 今季初戦、さくら銀行戦の直後である。この日試合には勝ったものの鹿島はランわずか33ydに抑えられ「RB王国」あるいは児玉、関沢とともに呼ばれる「RB三銃士」の異名にはとても似つかわしくない出来だった。
 「建て直してきます」という言葉を置いて堀口はフィールドを後にした。

 しかし、続くすかいらーく戦で33yd、三和銀行戦でやっと127ydを記録するが、ランによるTDは児玉の1本のみとランプレーの不振は続いた。
 いつしか今年の鹿島はQB川上、鈴木ら二人から繰り出される長短織りまぜたパスのチームという印象を強くしていく。

 CENTRAL天王山と言われたリクルート戦、RB堀口自身はスクリーンから逆サイドにカットバック、決勝点をたたき出す70ydの独走を見せたが、ランの記録はリクルートのスピードあるディフェンスに21ydに抑えられた。しかしこの独走は堀口の存在、スピードをアピールするには十分だった。

 最終の日産プリンス東京戦、それまでたまっていたOL、RB陣の鬱憤が一気に爆発する。ラントータルで164yd、堀口、児玉がそれぞれ2本、関沢が1本のTDをとり、まさに「RB王国」が復古しつつあった。

 ファイナル6、シード権を得て2回戦からの登場となった鹿島の対戦相手は強豪オンワード。強豪同士の対戦は4Qでは決着がつかず、タイブレークへともつれ込む。
 ここで勝負を決めたのはやはり堀口だった。7ー10リードされた後攻の鹿島の2回目のトライ。「リクエストしていた」というスイープで堀口はゴール右隅に飛び込んで初の東京スーパーボウルへの切符をもぎとった。

 東京スーパーボウルの相手は松下電工。ファイナル6でシルバースターのランをマイナス27ydに押さえ込み日本中を驚かせた脅威のディフェンスをもつこのチーム相手に鹿島は堂々とランプレーで戦いを挑んでいく。
 それまで見せたことのなかった児玉、堀口のセットからのオプションを初め、スイープ、ドロー等が面白いようにゲインを重ねていく。終わってみればランで今季最高の243ydを稼ぎ、堀口はこの試合のMVPにも選ばれた。

 「第3戦の三和銀行戦以降、OLとのミーティングの時間を長くしてコミュニケーションをはかってきた結果だと思います」と東京スーパーボウル直後、脳震盪で朦朧としながらも語ってくれた堀口。

 「ランの鹿島」は完全に復活した。そして今季は「ディフェンスの鹿島」の看板も付け加わり、まさに日本一へのお膳立ては整った。さあ、あとは結果を出すだけだ。

 


FINISH RESULT 1997
 9月15日 26- 0 vsさくら銀行ダイノス
 9月22日 38- 0 vsすかいらーくスカイラークス
10月 5日 34- 0 vs三和銀行ラークヒルズ
10月15日 17-13 vsリクルートシーガルス
11月 3日 31-10 vs日産プリンス東京パルサーズ
FINAL6
11月30日 10-10 vsオンワードオークス
タイブレーク 13-10
東京スーパーボウル
12月17日 48-12 vs松下電工インパルス